佐賀県唐津市にある呼子大橋は、呼子町と加部島を結ぶ全長728メートルの美しい橋で、海に囲まれた風景の中に堂々と架けられています。呼子町の中心部から北西に進むと、穏やかな波の音と潮の香りに包まれながら、その白いアーチが目の前に現れます。橋の上に立つと、眼下には透明度の高い海が広がり、晴れた日には遠く壱岐の島影まで望めることもあります。周囲の入り組んだ海岸線や、大小の漁船が行き交う様子も見え、時間を忘れて見入ってしまうほどの景観が楽しめます。
この橋が完成したことで、それまでフェリーに頼っていた加部島との行き来が大きく変わり、地元の人々の暮らしに利便性がもたらされただけでなく、観光客にとっても加部島の魅力に触れやすくなりました。加部島に渡ると、田園風景が広がり、のどかな漁村の暮らしを感じさせる光景が続きます。特に春先には菜の花が一面に咲き誇り、橋の向こうに黄色のじゅうたんのような景色が広がります。季節の変化とともに橋の表情も変わり、夕暮れ時には茜色に染まる海と橋のシルエットが重なり合い、まるで絵画のような情景を生み出します。
また、呼子町側には朝市が有名で、地元で獲れた新鮮な魚介類や加工品が並ぶ市場の活気も旅の楽しみの一つとなっています。市場を訪れたあと、そのまま呼子大橋まで足を延ばす人も多く、橋のたもとには車を止めて景色を楽しめる展望スペースも設けられています。橋を歩いて渡ることもできるので、ゆっくりと風を感じながら海上散策のような気分を味わうことも可能です。橋を渡る車窓から見える大海原や、湾内を行き交うイカ釣り漁船の姿も、この地域ならではの光景として印象深く残ります。
呼子大橋は、ただの交通の手段としての橋ではなく、人々と海と島とを緩やかに結ぶ風景の一部として、唐津市呼子町に訪れる人々に忘れがたいひとときを提供してくれる場所です。
呼子大橋(佐賀県)
