石川県七尾市にある和倉温泉は、日本海に面した能登半島の中心部に位置する、風光明媚な海辺の温泉地です。この地の湯は、およそ1200年前に漁師が海中に湯が湧き出しているのを発見したという言い伝えに始まり、長い年月を経て今では全国に名を知られる名湯となりました。特に江戸時代に入ってからは加賀藩の庇護を受け、湯治場としての機能が整えられ、湯の効能や泉質の良さが広く知られるようになりました。温泉の湯は塩化物泉で、体が芯から温まり、肌にも優しいことから、多くの人々に親しまれてきました。
七尾湾に面しているため、宿泊施設からは穏やかな海の景色を一望することができ、特に朝焼けや夕暮れ時の風景は訪れた人々の心に深く残ることでしょう。また、海に面していることから、能登ならではの新鮮な海の幸も楽しめます。中でも、冬の時期に味わえる香箱ガニや寒ブリは絶品で、食を目的に訪れる人も少なくありません。
温泉街の中心には足湯や飲泉場が整備されており、ぶらりと散策しながら気軽に温泉の恵みを感じることができます。また、「和倉昭和博物館とおもちゃ館」など、家族連れでも楽しめる施設があり、滞在中にゆったりと時間を過ごすことができます。さらに、七尾市街地にも近く、能登の文化や伝統を感じられるスポットも数多く点在しています。
毎年春には「青柏祭(せいはくさい)」が行われ、巨大な曳山が町中を練り歩く様子は圧巻です。このように、和倉温泉は自然の恵みと歴史、そして地域の暮らしや文化が調和した、心と体の両方を癒してくれる場所です。都会の喧騒を離れて、のんびりとした時間を味わいたい方にとって、七尾市の和倉温泉はまさに理想的な旅先と言えるでしょう。
和倉温泉(石川県)

コメント