父母ヶ浜（香川県）

　香川県三豊市に位置する父母ヶ浜（ちちぶがはま）は、近年「日本のウユニ塩湖」と称され、多くの旅行者や写真愛好家から注目を集めています。この海岸はおよそ1キロメートルの長さを誇る遠浅の浜辺で、特定の気象条件が重なると、水面がまるで鏡のように空を映し出し、幻想的な風景を生み出します。特に干潮と日没が重なる時間帯は、空の色と海の光が一体となり、まるで異世界に迷い込んだような感覚を味わうことができます。
　三豊市にあるこの場所では、日が傾き始める頃から風が穏やかになり、水面が静まりかえります。まるで湖のように広がる水面が、空の雲や人のシルエットまでも鮮明に映し出す光景は、ただ眺めるだけでも心を奪われます。夕陽が地平線に沈む瞬間、空はオレンジから深い赤、そして青へと刻々と変化し、その光が水面に反射して全体を柔らかな光で包み込みます。この時間帯は「マジックアワー」とも呼ばれ、目に映るすべてが夢の中のように美しくなります。
　天候や潮の満ち引きによって風景が変わるため、同じ場所であっても訪れるたびに異なる表情を見せてくれるのも魅力のひとつです。風がない晴天の日であれば、鏡のような海面がより鮮明に空や人物を映し、まるで現実と幻想が交差するかのような写真を撮影できます。特にSNSではこのような写真が多く共有されており、その人気の高さがうかがえます。
　また、父母ヶ浜周辺にはカフェや休憩スペースも整備されており、ゆっくりと滞在を楽しむことができます。浜辺を散策したり、砂浜に座って波音を聞きながら過ごす時間も、日常の喧騒を忘れさせてくれるような穏やかさを感じさせてくれます。香川県三豊市を訪れた際には、ぜひこの静かな海岸で、刻々と変わる空と海の共演に身をゆだねてみてください。きっと心に残るひとときとなることでしょう。