高崎山自然動物園（大分県）

　大分県大分市に位置する高崎山自然動物園は、豊かな自然と人間の知恵が織りなすユニークな観光地です。戦後間もない時期、この地域で農作物がニホンザルに荒らされる被害が相次いでいました。地元住民の苦労を解決するために、1952年に設立されたのがこの動物園です。餌付けを通じてサルたちを山中に集める取り組みが行われ、彼らとの共生の道が築かれました。この結果、現在ではサルと人間が穏やかに共存する場所として国内外から注目を集めています。
　園内には主にB群とC群という二つのサルの群れが存在し、彼らの行動や社会性を観察することができます。一年を通してサルたちが繰り広げるドラマは、訪れる人々に新たな発見をもたらします。中でも注目すべきは、「ボスザル」として群れを率いるリーダーの交代劇や、子ザルたちが遊びながら成長していく様子です。観察デッキから近距離でサルの生活を垣間見ることができるため、動物との距離を感じさせない特別な体験が提供されます。
　また、餌付けタイムも見逃せません。スタッフが用意した餌をサルたちが争うように取りに来る様子は迫力満点で、動物園ならではの臨場感を味わえます。この餌付けには、ただの観光資源としてだけでなく、サルたちを山から引き離す目的もあります。結果として、地域の農作物被害が減少し、人間と動物の健全な関係が保たれているのです。
　さらに、高崎山自然動物園は季節ごとに異なる楽しみ方も魅力です。春には新緑の中で生まれたばかりの赤ちゃんザルが遊ぶ姿に癒され、夏は青々とした山々と涼しい風が訪れる人々を迎えてくれます。秋になると紅葉が山を彩り、冬には猿たちが暖を取るために寄り添う姿が見られるなど、自然の移り変わりを通してサルたちとの交流が楽しめます。
　このように、大分市にある高崎山自然動物園は、自然と野生動物が調和する特別な空間です。大人から子どもまで幅広い世代が学びながら楽しめるこの場所は、一度訪れると忘れられない思い出になるでしょう。