スオメンリンナは、フィンランドの首都ヘルシンキの沖に浮かぶ要塞群で、18世紀に建設が始まりました。スウェーデンが当時この地域を統治していた時代、ロシア帝国の脅威に備えるために設けられました。当時のヨーロッパでは戦略的な要所に強固な要塞を築くことが一般的で、スオメンリンナはその一環として造られました。工事は1748年に始まり、多くの労働者や技術者が参加し、次第に完成を迎えました。長い年月をかけて完成したこの要塞は、ヨーロッパで最も大規模な防衛施設の一つとして知られるようになります。
スオメンリンナの特筆すべき点は、6つの島々にまたがって広がる広大な防衛施設群です。要塞の内部には当時の兵士たちが生活していた兵舎や、弾薬庫、砲台などが残されています。これらは現在でも保存状態がよく、当時の軍事技術や戦術を垣間見ることができます。また、要塞の周囲には石壁が高くそびえ、当時の防衛施設としての頑強さを物語っています。これらの建築物は、時代を超えて現在でもその壮大さを保っています。
19世紀になると、この要塞はロシアの支配下に入ります。1808年から1809年のフィンランド戦争で、スオメンリンナはロシア軍に降伏し、以降、フィンランドがロシアの一部となる間はロシアの手によって要塞が維持されました。スオメンリンナはこの時期にロシア軍の駐屯地として使われ、要塞自体もさらに強化されました。しかし、ロシアの支配が終わり、フィンランドが独立を果たした後、スオメンリンナは再びフィンランドのものとなりました。
現在、スオメンリンナはその歴史的価値と景観の美しさから、多くの観光客を魅了しています。訪れる人々はフェリーで要塞に渡り、島々を自由に歩き回りながら、当時の要塞の様子や建築物を間近に感じることができます。さらに、島内にはカフェや博物館もあり、歴史を学びながらリラックスして過ごすことも可能です。暖かい季節には芝生の広場でピクニックを楽しんだり、波打つ海を眺めながら散策するのも人気です。
スオメンリンナの要塞(フィンランド)

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