大阪府大阪市浪速区に位置する新世界は、独特の雰囲気と長い年月をかけて育まれてきた文化が魅力のエリアです。この街が誕生したのは明治から大正にかけてのこと。1903年に開催された第五回内国勧業博覧会の跡地を活用してつくられた新しい街、それが「新世界」と名づけられました。当時の最新の都市計画をもとに、街の南半分にはパリを模した華やかな町並みが、北半分にはアメリカのニューヨークをモデルにした街路が設けられ、まさに夢と未来を感じさせる場所だったのです。中央にはルナパークという遊園地が設置され、訪れる人々の目を楽しませていました。
そのシンボルとして1912年に建てられたのが、現在の通天閣の前身にあたる初代通天閣です。当時としては珍しい鉄塔で、高さ75メートルのその姿は「東洋のエッフェル塔」とも称され、多くの人の注目を集めました。現在の通天閣は1956年に再建された2代目で、高さは108メートル。展望台からは大阪市内を一望できるだけでなく、タワー内部には「ビリケンさん」と呼ばれる幸運の神様の像が安置されており、足の裏を撫でると願いが叶うとされ、多くの観光客が訪れます。
通天閣の周辺には、昔ながらの情緒が色濃く残る町並みが広がっており、串カツをはじめとする大阪名物の飲食店が軒を連ねています。にぎやかなネオンと昭和の香り漂う看板が並ぶ通りは、歩いているだけでタイムスリップしたかのような気分になります。また、ジャンジャン横丁と呼ばれる細い路地には、将棋クラブや立ち飲み屋が並び、地元の人々の生活が今も息づいています。
近年では外国人観光客にも人気のスポットとなり、新旧の文化が交差するユニークな魅力を放っています。大阪府大阪市を訪れた際には、この不思議と懐かしさが同居する街を、ぜひゆっくりと歩いて味わってみてください。
新世界(大阪府)

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