広島県三次市甲奴町に位置する品の滝は、自然が織りなす静けさと躍動感を同時に味わえる場所として、多くの人々に親しまれています。1.5キロメートルにわたって続く渓谷の中には、趣の異なる三つの滝が順に現れ、それぞれが訪れる人々に異なる印象を与えてくれます。最初に迎えてくれるのは、高さ11メートルを誇る一の滝です。木々の緑に囲まれながら、しぶきを上げて力強く落ちる水の流れは、初めて訪れた方にとっても心を奪われるような存在です。
さらに奥へと足を進めると、大小さまざまな流れが連なって現れる二の滝が姿を現します。川のせせらぎとともに歩くうちに、いつのまにか都会の喧騒や日常の疲れが遠ざかっていくような感覚になります。途中には木々の間から差し込む光が水面にきらめき、時折野鳥のさえずりが聞こえることもあり、まるで自然のコンサートを楽しんでいるような気分に浸れます。
やがて現れるのが三の滝で、高さ9メートルを5段に分かれて流れ落ちるその姿は、まるで山の神々が描いた絵巻物のようです。水しぶきが風に乗って頬に届き、肌に触れた瞬間のひんやりとした感触が、五感すべてに心地よさをもたらしてくれます。この滝にたどり着くころには、深呼吸をするだけで自然のエネルギーが体に染み渡るような、そんな感覚が芽生えてくることでしょう。
また、周囲の山々には四季折々の草花が咲き誇り、初夏には新緑が、秋には紅葉が渓谷一帯を鮮やかに彩ります。道中では、珍しい昆虫や野生動物に出会えることもあり、生命の息吹が身近に感じられることも、この地ならではの魅力の一つです。三次市甲奴町の大地が育んだこの渓谷は、歩けば歩くほど、自然の奥深さと美しさを肌で感じられる場所となっています。訪れた人々にとって、心と身体の両方が癒される特別な時間となることでしょう。
品の滝(広島県)

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