四国水族館(香川県)

 香川県綾歌郡宇多津町にある四国水族館は、2020年に開館した新しい施設で、四国の自然と文化をテーマにした展示が魅力の水族館です。館内を一歩進めば、まるで四国全体を水の中から巡る旅に出たかのような感覚に包まれます。館の中心には、鳴門海峡のダイナミックな渦潮を再現した空間があり、その力強い水の流れとともに泳ぐ魚たちの姿が来館者を引きつけます。また、太平洋を流れる黒潮の魚たちが躍動する水槽や、伝説の浦島太郎をイメージした神秘的な空間では、幻想的な雰囲気に包まれながら魚たちの動きに心が奪われます。
 瀬戸内海の風土に根差した伝統漁法を取り入れた展示も特徴的で、蛸壺を模した空間や岩陰に棲むニホンウナギなど、地域に根ざした暮らしや生態系のつながりを感じることができます。サメが泳ぐ薄暗い空間や、漂う海藻の中で静かに泳ぐ魚たちを眺めていると、時がゆっくりと流れているかのような安らぎを得られるでしょう。さらに、四季によって姿を変えるクラゲの展示もあり、訪れるたびに新たな発見があるのも嬉しいところです。
 水辺の生き物は魚だけではありません。海の哺乳類や鳥たちの姿も身近に感じることができます。イルカのプールでは、元気に泳ぐ姿だけでなく、専用ホールで行われる演出を交えたプレイングタイムが人気を集めています。アシカやアザラシもそれぞれの自然な動きで来館者を楽しませてくれますし、ケープペンギンがよちよちと歩く姿や、コツメカワウソが愛らしくじゃれ合う様子も微笑ましい時間を演出してくれます。
 そのほかにも、真珠養殖の情景を表現した水槽や、夕暮れ時にイルカと太陽が織りなすロマンチックな光景、仏教美術と水の世界が融合した神秘的な展示など、五感に訴える演出が数多く施されています。四国の自然と文化が織りなすこの場所では、ただ見るだけではなく、感じ、想像し、心に残るひとときを過ごすことができます。宇多津町を訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください。

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