徳島県三好市を含む地域を走る観光列車「四国まんなか千年ものがたり」は、香川県の多度津駅から徳島県の大歩危駅まで、土讃線の雄大な山間部を抜けていく優雅な旅を楽しめる特別な列車です。この列車は、讃岐と阿波、そして土佐へとつながる四国のまんなかを縦断しながら、各地に息づく文化や自然を五感で味わうことができるように設計されています。車内に一歩足を踏み入れると、洗練された木の温もりと、地域の伝統工芸を取り入れた内装が広がり、まるで移動する和の空間に包まれるような感覚に包まれます。
列車は、香川県の多度津町を出発し、善通寺市や琴平町などを通過します。このあたりでは讃岐平野ののどかな田園風景や、遠くに讃岐山脈を望む穏やかな風景を楽しむことができます。琴平町では、車窓から「こんぴらさん」として親しまれる金刀比羅宮の表参道や門前町の様子もうかがえ、旅の気分が一層高まります。さらに進むと、列車はだんだんと山深い景色の中へと入っていきます。四国山地の緑が濃くなるにつれ、川の流れも間近に感じられるようになり、吉野川沿いの美しい渓谷が車窓に広がります。
徳島県三好市に入ると、列車は祖谷渓や大歩危小歩危のダイナミックな地形のそばを通り抜けていきます。特に大歩危駅付近では、切り立った岩壁とエメラルドグリーンの川面が織りなす雄大な景観が印象的です。三好市のこの地域では、古くから人々が自然と共に暮らしてきた暮らしの様子が今も感じられ、どこか懐かしい空気に包まれます。
また、この列車では地元の食材をふんだんに使った料理も楽しめ、料理を通して土地の恵みや季節の移ろいを味わうことができます。列車の速度はあえてゆっくりと設定されており、移り変わる景色や心地よい静けさをじっくり堪能できるのも魅力のひとつです。列車名にある「千年ものがたり」という言葉の通り、地域に連綿と受け継がれてきた文化や人々の暮らしを、自然と共に味わいながら進むこの旅は、時間の流れを忘れさせてくれるような心豊かな体験となることでしょう。
四国まんなか千年ものがたり(徳島県)

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