高松市の北部に位置する男木島は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、訪れる人々に穏やかな時間と個性的な風景を届けてくれる場所です。島へは高松港からフェリーで約40分の距離にあり、港に到着するとまず目に入るのが、ガラスと鋼材を使った未来的なデザインの男木島の交流施設「男木交流館」です。こちらは到着する人々を迎える玄関口として、海と建築の美しい調和を感じさせてくれます。
男木島の魅力は、何といってもその斜面にへばりつくように連なる民家の風景です。坂道が入り組んだ集落は、迷路のような細い路地が続き、歩くたびに新しい景色に出会えます。家々の間から見える海の青さや、猫たちが気ままに過ごす姿には、どこか懐かしさを感じるでしょう。地元の人々の生活が今も息づいており、島の時間の流れがゆっくりとしていることを実感できます。
また、男木島はアートの島としても知られています。瀬戸内国際芸術祭の開催地の一つとなっており、島内各所には国内外のアーティストが手がけた作品が点在しています。中でも注目されるのが、家の中に作品が広がる「男木島の魂」や、石積みの坂道沿いに現れる「歩く方舟」など、島の風景や歴史を反映させた作品たちです。作品を見るたびに、その場所に込められた物語を感じることができ、島の散策がより味わい深いものとなります。
灯台好きの方にとっては、島の北端に位置する男木島灯台も外せません。庵治石造りで無塗装の灯台は、明治期に建てられたもので、今もなお現役で灯りを灯し続けています。灯台の周囲には芝生の広場が広がり、海風を感じながらゆったりと過ごすことができます。
四季を通じて違った表情を見せる男木島ですが、特に春や秋は過ごしやすく、島歩きには最適な時期です。高松市の街中からほんの少し足を延ばすだけで、日常とは異なる世界が広がっており、旅の記憶に残る特別な時間を味わうことができます。島全体が一つの作品のように感じられる男木島で、ぜひ心静かなひとときをお過ごしください。
男木島(香川県)

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