香川県香川郡直島町に位置する直島は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島ながら、その魅力は国内外から多くの人々を引き寄せています。島には宮ノ浦、本村、積浦という三つの集落が点在しており、それぞれに異なる特色が息づいています。宮ノ浦はフェリーが発着する島の玄関口であり、訪れる人々を迎える「海の駅なおしま」は、建築と芸術の融合によって誕生したモダンな施設です。そのユニークな外観は島の第一印象を彩ると同時に、直島全体の個性を象徴する存在とも言えます。
港に面して佇む「赤かぼちゃ」は、写真を撮る人々の姿が絶えないスポットです。そのすぐ近くには、海と空、そしてアートが一体となった「直島パヴィリオン」があり、夕暮れ時にはとくに幻想的な雰囲気を醸し出します。直島ホールもまた、外観から内装に至るまで細部にこだわりが感じられる設計で、地域の交流拠点としても機能しています。
本村地区では、昔ながらの民家を活かしたアートプロジェクトが展開されており、伝統的な家屋と現代作品との意外な組み合わせに驚かされます。細い路地を歩けば、ふとした壁や扉にも創意工夫が施されており、島全体がひとつの大きな作品のように感じられることでしょう。一方、積浦では漁業の営みが今も続いており、ハマチやノリの養殖が盛んです。静かな漁港の風景のなかで、島の素朴な一面に触れることもできます。
島内には、芸術と宿泊が融合した「ベネッセハウス ミュージアム」や、建物そのものがアートとして設計された「地中美術館」などがあり、自然との一体感のなかで作品を体感することができます。こうした美術館を巡る時間は、まるで日常を忘れて夢の中を旅しているような感覚を与えてくれます。直島は、古き良き日本の風情と前衛的な表現が見事に調和した稀有な場所として、何度でも訪れたくなる不思議な力を持っています。
直島(香川県)

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