香川県丸亀市の中心部に位置する丸亀城は、日本の中でも特に印象的な姿を見せるお城として知られています。市街地から見上げると、その高台に築かれた石垣の壮大さにまず目を奪われます。この城の特徴は、何といってもその石垣の高さと積み方にあります。日本で現存する城の中でも、最も高い石垣の一つを誇り、幾重にも折れ曲がりながら積み上げられたその姿は、まるで山の斜面を登る龍のようにも例えられます。
天守へと向かう道のりでは、ぐるりと回るような緩やかな坂道を進むことになりますが、その途中からは丸亀市街地や瀬戸内海を見渡すことができ、登るごとに景色の変化を楽しめます。石垣の隙間には季節の草花が生い茂り、春には桜が咲き誇ることで知られており、多くの人が散策を楽しみに訪れます。頂上にたどり着くと、現存する木造の三重三階の天守が姿を現します。小ぶりながらも風格あるたたずまいで、内部には当時の建築技術を感じさせる梁や階段が残されています。
丸亀城の天守は、現代まで火災や戦災を免れてきた数少ない建造物の一つで、その保存状態の良さも訪れる人の興味を引きます。天守から見下ろすと、丸亀港や讃岐富士として親しまれる飯野山まで視界に入りますので、晴れた日には特に絶景が広がります。また、城内の一角には郷土に関する展示を行う施設も併設されており、丸亀市の文化や風土についても理解を深めることができます。
城の周囲には緑豊かな芝生広場が整備されており、地元の人々の憩いの場ともなっています。休日には親子連れや観光客がゆったりと過ごす姿が見られ、地域に根ざした存在として親しまれています。訪れる季節によって雰囲気が大きく変わるのも魅力のひとつで、夏には新緑、秋には紅葉、そして冬には澄んだ空気の中で天守がいっそう引き立ちます。丸亀市を訪れる際には、ぜひ時間をかけてこの城のたたずまいを味わっていただきたいものです。
丸亀城(香川県)

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