来島海峡(愛媛県)

 愛媛県今治市に位置する来島海峡は、しまなみ海道の中央に広がる海域で、自然の迫力を間近に感じられる場所として知られています。この海峡は、鳴門海峡や関門海峡と並んで日本三大急潮流のひとつに数えられ、その潮の流れの速さは最大10ノットにも達することがあります。多くの人が「渦潮」と聞くと徳島県の鳴門を思い浮かべますが、実はこの来島海峡のほうが流れが激しく、複雑な潮のうねりが海面に独特の模様を描き出す様子は、一見の価値があります。
 このダイナミックな海の変化をより深く体感したい方には、今治市から出航している観潮船の利用がおすすめです。船が海峡を進むにつれて、眼前に広がる渦巻く潮流やうねりが迫ってきて、まるで自然の息吹に触れているかのような迫力があります。潮の変化に合わせて航路が調整されているため、安全かつ効果的に海の動きを感じることができるのも魅力です。
 また、この海峡をまたいで伸びる来島海峡大橋の姿も印象的で、観潮船の上から見上げるその構造美には圧倒されます。橋の白いアーチが空と海の青に映える風景は、まるで絵画のようで、写真に収める観光客も多く見かけます。特に晴れた日には、遠くに広がる瀬戸内海の島々と橋の調和が見事で、ゆったりとした船の揺れとともに心に残るひとときを演出してくれます。
 今治市の沿岸には、来島海峡を一望できる展望台もいくつか設けられており、高台から海を見下ろすことで、海峡の広がりや船の往来、そして潮の流れの速さを視覚的にも感じ取ることができます。さらに、夕暮れ時になると、橋がライトアップされ、空の色と海面の光の反射が絶妙に調和し、幻想的な景色が広がります。
 来島海峡は、ただの海ではなく、自然の力と人の技術が融合したダイナミックな空間であり、今治市を訪れる際にはぜひ足を運んでいただきたいスポットです。海の息吹と風、そして船上からの眺めを通じて、瀬戸内の魅力を心ゆくまで味わっていただけます。

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