兵庫県神戸市灘区に位置する掬星台(きくせいだい)は、六甲山の中腹にある展望スポットとして、多くの人々に親しまれています。名前の由来は「手で星を掬(すく)えるほど近くに感じる場所」という意味を持ち、その名の通り、夜になると宝石をちりばめたような神戸の街並みが眼下に広がり、訪れる人々を幻想的な光景へと誘ってくれます。特に晴れた日の夕暮れ時には、大阪湾を挟んで広がる大阪や和歌山方面まで視界が開け、ゆっくりと移りゆく空の色とともに、刻々と表情を変える風景を楽しめます。
昼間は、六甲山系の緑豊かな自然に包まれた中で、神戸市街や港の様子がはっきりと見渡せるため、山歩きやハイキングを兼ねて訪れる方にも最適です。摩耶ケーブルと摩耶ロープウェーを利用すれば、アクセスも快適で、都市部から気軽に訪れることができる点も魅力のひとつです。ロープウェーの車窓からは、山肌を滑るように進む爽快な空中散歩が楽しめ、目的地に到着する前からすでに旅の気分が高まります。
掬星台の広場には、ベンチや散策路が整備されており、ピクニックや家族連れの憩いの場としても人気があります。夜には恋人たちが静かに肩を寄せ合いながら、きらめく光の海を見下ろす姿もよく見られます。その光景は「1000万ドルの夜景」とも称され、日本三大夜景のひとつに数えられるほどで、訪れた誰もが言葉を失うような美しさに包まれます。
また、この場所では季節によってさまざまな表情が楽しめます。春は淡い桜に彩られ、夏は山風が心地よく、秋には色づく木々が鮮やかに映え、冬は空気が澄んで一段と遠くまで見渡せるようになります。神戸市灘区にあるこの高台は、自然と都市が調和する場所として、訪れる人の心に深く残る時間を提供してくれます。忙しない日常を離れ、ゆったりと空と光と風を感じたいとき、掬星台はその願いに静かに応えてくれる場所です。
掬星台(兵庫県)

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