佐賀県武雄市若木町に位置する川古の大楠(かわごのおおくす)は、訪れる人々を圧倒するような迫力と静かな気品を兼ね備えた一本の楠です。高さはおよそ25メートル、幹回りは実に21メートルに達し、その姿を初めて目にした瞬間、多くの方が言葉を失うといいます。その堂々たるたたずまいは、自然の偉大さを肌で感じさせ、日常から離れた時間の流れへと誘ってくれます。
周囲を見渡すと、この木を中心に小さな公園が整備されており、ベンチに腰を下ろしてのんびりと眺めるのも心が癒やされるひとときです。春や夏には葉が青々と茂り、秋にはわずかに色づいた葉が陽の光にきらめきます。そして冬の時期にも、そのたくましい枝ぶりが青空を背景にくっきりと浮かび上がり、一年を通して異なる表情を見せてくれます。
この楠のそばには、清らかな水が湧き出す池もあり、その水面に映る木の姿もまた趣深く、写真を撮る方にも人気があります。あたりには野鳥のさえずりも聞こえ、空気も澄んでいて、心身ともにリフレッシュできる場所として親しまれています。近くに建てられた案内板には木の由来や大きさなどが紹介されており、訪れた人々がその存在の重みを感じられるような工夫もなされています。
この地を訪れる人々の中には、何度も足を運ぶ方も少なくありません。大楠の下で静かに目を閉じると、不思議と心が整うような感覚を覚えることがあり、人生の節目や大きな決断の前にここを訪れるという声も多く聞かれます。自然の中に身を置き、長い年月を生き抜いてきた木のそばで過ごすことで、自分の悩みが小さく思えるという体験をされる方もいらっしゃいます。
武雄市を訪れる際には、この川古の大楠の前で、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。日々の喧騒から離れ、自然の静けさと力強さに身を委ねることで、何か大切なものを取り戻せるかもしれません。
川古の大楠(佐賀県)
