常楽寺(徳島県)

 常楽寺は、徳島県徳島市に佇む第十四番札所のお寺で、長い巡礼の道のりを歩む人々に静かな安らぎを与えてきました。四国遍路の中でも比較的市街地に近い場所にありながら、境内に一歩足を踏み入れると、外の喧騒が遠のき、落ち着いた空気に包まれるのが印象的です。
 この寺は、弘法大師空海によって開かれたと伝えられ、真言密教の教えを今に伝えています。幾度となく時代の移り変わりや災禍を経験しながらも、地域の人々や遍路者の信仰に支えられ、現在まで大切に守り継がれてきました。その歩みは、阿波の地における信仰の厚さを物語っています。
 常楽寺で特に心に残るのは、境内一面に広がる玉砂利です。白や淡い色合いの石が敷き詰められた様子は、まるで浄土を表現しているかのようで、足元から心が清められる感覚を覚えます。この砂利は「阿波の青石」と呼ばれるものが多く使われており、光の加減によって表情を変えるのも魅力の一つです。
 本堂では、ご本尊である弥勒菩薩が安置され、訪れる人々の願いに静かに耳を傾けているように感じられます。弥勒菩薩は未来に現れて人々を救う仏とされており、先の世への希望や心の平穏を求めて多くの参拝者が手を合わせます。
 第十四番札所である常楽寺は、次の札所へ向かう前に心身を整える大切な場所でもあります。徳島市の穏やかな風土と相まって、旅の途中で立ち止まり、自分自身と向き合う時間を与えてくれる寺として、多くの巡礼者の記憶に残り続けています。