石和温泉（山梨県）

　山梨県笛吹市に位置する石和温泉は、首都圏からのアクセスが良く、気軽に訪れることができる温泉地として知られています。その起源は比較的新しく、昭和36年（1961年）に偶然湧き出た温泉が始まりです。当時、ぶどう畑の地下から大量の温泉が湧出したことがきっかけで一気に注目を集め、以後、急速に整備が進められ、現在のような一大温泉街へと発展しました。周囲には果樹園が広がり、桃やぶどうなどの果物狩りが楽しめることから、季節ごとの自然の恵みを味わえる場所としても人気を集めています。
　石和温泉の魅力は、その湯量の豊富さにあります。市内には多くの宿泊施設が立ち並び、それぞれが自家源泉を持つことも珍しくありません。無色透明で柔らかな泉質は、肌をなめらかに整えるとされ、疲労回復や冷え性の緩和に効果があるといわれています。また、温泉街の中心を流れる笛吹川沿いには足湯が設置され、誰でも無料で楽しむことができます。川のせせらぎを聞きながら、心も体もゆったりと癒されるひとときを過ごすことができるでしょう。
　温泉を楽しむだけでなく、周辺には訪れる価値のある場所が多数あります。特に甲府盆地を一望できる笛吹川フルーツ公園では、四季折々の花々と果樹が楽しめるほか、天気の良い日には遠く富士山を望むこともできます。また、車で少し足を延ばせば、武田信玄ゆかりの史跡も多く、戦国時代の雰囲気を感じることができます。特に甲府市内の武田神社や、躑躅ヶ崎館跡は多くの観光客が訪れる名所となっています。
　さらに、地元の食文化も大きな魅力のひとつです。笛吹市やその周辺では、甲州ワインの産地としても知られ、多くのワイナリーが点在しています。温泉の後に地元産のワインとともに楽しむ山梨の郷土料理は、旅の味覚として格別のものがあります。旅の疲れを癒す温泉と、豊かな自然、歴史を感じる場所、そして地元の味。石和温泉は、日常の喧騒を忘れさせてくれる、心温まるひとときを提供してくれる場所です。