山口県萩市にある萩城跡指月公園は、かつての城郭と自然が見事に調和した場所で、訪れる人々に静かな時間を提供してくれます。萩市街の西端、指月山のふもとに位置し、山と海に囲まれたこの地には、かつて毛利氏が治めた城が築かれていました。現在では天守こそ残っておりませんが、石垣や堀などが往時の姿を偲ばせ、歩くだけで歴史の息吹が感じられます。
公園内には、春になると多くの桜が咲き誇り、特にソメイヨシノの並木が淡い色彩で空を覆い尽くすように咲き誇る様子は見事です。桜の季節には多くの人が花を愛でに訪れ、城跡と花のコントラストが一層美しさを引き立てています。また、秋には紅葉も楽しむことができ、色づいた木々が城跡の静けさと相まって、しみじみとした風情を醸し出します。
指月山には、かつての山城の遺構が今なお残っており、登山道を進むと石段や郭の痕跡を見ることができます。山の上からは萩湾や市街地を一望でき、爽やかな海風を感じながら、萩という町の成り立ちを肌で感じることができます。また、園内には毛利家の菩提寺である天樹院跡(天樹院墓所)もあり、往時の城下文化を今に伝える静謐な空間が広がっています。
園内を散策していると、野鳥のさえずりや木々のざわめきが心地よく響き、時間の流れがゆったりと感じられます。小道には苔むした石や古木が配されており、自然と人工物が調和した趣ある景観が広がります。池の水面に映る木立や石垣の姿は、訪れるたびに異なる表情を見せてくれます。
萩市の町並みとともに、この場所を訪れることで、かつての時代の空気に触れつつ、今という時間を穏やかに過ごすことができるのが萩城跡指月公園の魅力です。春夏秋冬それぞれに異なる彩りを見せるこの場所は、何度でも訪れたくなる静けさと風格を湛えています。
萩城跡指月公園(山口県)

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