郡上八幡（岐阜県）

　岐阜県郡上市に位置する郡上八幡は、山々と清流に囲まれた情緒あふれる町で、訪れる人々をまるで時代を遡ったかのような気分にさせてくれます。この町は、戦国時代から続く城下町として知られており、その中心には郡上八幡城がそびえ立っています。日本最古の木造再建城として名高いこの城は、山の上に建てられているため、城からは郡上市の町並みと周囲の自然を一望でき、四季折々に異なる美しさを見せてくれます。
　町の中を歩くと、昔ながらの家屋が軒を連ねる石畳の道や、水路沿いに暮らす人々の生活の風景に出会います。特に「やなか水のこみち」と呼ばれる小道では、澄んだ水が流れ、その中には鯉が泳ぎ、訪れる人の目を楽しませてくれます。郡上八幡は「水の町」としても知られており、町内の至るところに清らかな水が湧き出しており、今でもその水を生活に利用する習慣が根づいています。こうした暮らしの中に根付いた水文化は、町全体に独特の落ち着きと美しさをもたらしています。
　また、夏の風物詩として全国的に有名なのが「郡上おどり」です。この踊りは毎年7月中旬から9月上旬にかけて行われ、特にお盆の時期には夜通し踊り続ける「徹夜おどり」が開催され、多くの観光客でにぎわいます。踊りの輪に加わるのに特別な準備は必要なく、浴衣姿で気軽に参加できるため、訪れた人も地元の人々と一体となって夏の思い出を作ることができます。
　さらに、食品サンプル作りの体験施設もこの町の魅力の一つです。郡上市は食品サンプルの生産地としても知られ、リアルな食品模型を自分で作ることができる体験は、子どもから大人まで楽しめると人気を集めています。このように、郡上八幡は自然と共生する暮らし、伝統行事、職人の技といった、さまざまな魅力が一体となった町であり、訪れるたびに新たな発見がある場所です。