バッキンガム噴水（アメリカ）

　シカゴの中心部に位置するバッキンガム噴水は、シカゴ市民や観光客にとって心休まる場所であり、その優雅なデザインは訪れる人々を魅了します。この噴水は、フランスのヴェルサイユ宮殿にあるラトナの泉に着想を得て作られており、豪華さと芸術性が融合したシンボルとして、シカゴの都市景観の一部になっています。四方に配置されたイルカの像が噴水を取り囲み、中央には巨大な水柱が上がる光景が広がります。噴水は高さ46メートルもの水を吹き上げ、その美しい水の動きが人々の目を引きつけます。
　この噴水は、1927年に公開され、シカゴ市に寄贈されました。寄贈者であるケイト・S・バッキンガムは、自らの兄でありシカゴの著名なビジネスマンであったクラレンス・バッキンガムを称えるために、この噴水を寄贈しました。彼女は、兄の遺志を継ぎ、市民に愛される美しい景観を提供することを目的とし、噴水の設計に対して大いにこだわりを持っていました。建設には約3年を要し、その費用は当時としては莫大なものでしたが、それはシカゴ市の繁栄を象徴するものでもありました。
　バッキンガム噴水は、日中の訪問者にだけでなく、夜間の観光客にも忘れられない体験を提供します。毎晩、ライトアップされた噴水が美しいショーを展開し、音楽と共に水が踊るように動きます。特に夏季には、毎時間行われるショーがシカゴ市の夜景と相まって、幻想的な光景を作り出します。周囲のグラント・パークの広大な緑地とともに、この噴水は都会の喧騒を忘れさせる癒しの場所であり、シカゴの重要な観光名所のひとつとなっています。
　また、バッキンガム噴水は都市計画の観点からも重要な役割を果たしており、その位置はシカゴの幾何学的なレイアウトにおいて中心的な役割を担っています。この噴水からの景色は、北にミシガン湖、南にシカゴの高層ビル群といった都市の多様な表情を一望することができます。噴水そのものだけでなく、その周囲の環境との調和が、訪れる人々に特別な感動を与えます。
　シカゴの豊かな歴史を背景に、このバッキンガム噴水は、過去から現在まで多くの人々の心に残り続ける存在です。