ボホール島(フィリピン)

 ボホール島は、フィリピン中部に位置し、その自然の豊かさと文化的な魅力で多くの旅行者を引き寄せています。島の特徴のひとつは、そのユニークな地形です。特に有名なのが「チョコレートヒルズ」と呼ばれる1,000以上の小さな円錐形の丘が広がる光景です。乾季になると、この丘の草が茶色に変わり、チョコレートのように見えるためその名がつけられました。これらの丘は、何百万年も前に海底の石灰岩が隆起してできたもので、自然が作り上げた地質学的な奇跡と言えるでしょう。
 島にはもう一つの特別な魅力があります。それは、世界最小の霊長類のひとつであるターシャと呼ばれる小さな動物です。彼らは手のひらに乗るほどの小ささで、巨大な目と愛らしい姿が特徴的です。この動物は夜行性で、昼間は樹木の間で静かに過ごしていることが多いですが、観光客は保護区内でターシャを観察することができます。
 また、ボホール島は歴史的な出来事とも深い関わりがあります。特に有名なのが1565年に島で結ばれた「サンドゥゴ」と呼ばれる血盟の儀式です。この儀式はスペインの探検家ミゲル・ロペス・デ・レガスピと地元の首長ダトゥ・シカトゥナとの間で行われ、平和と友情の証として互いの血を杯に混ぜて飲み交わしたとされています。この出来事はフィリピンとスペインの歴史的な接触の象徴であり、島の人々にとって誇りとなっています。
 自然の美しさだけでなく、ボホール島には美しいビーチやサンゴ礁も広がっています。特にバリカサグ島やパングラオ島周辺の海は、ダイバーやシュノーケラーにとって絶好の場所です。透き通った海と豊かな海洋生物、多彩なサンゴ礁が広がるこのエリアでは、色とりどりの魚たちが泳ぎ、ウミガメにも出会うことができるでしょう。
 さらに、ボホール島には美しい教会も点在しており、その建築様式や装飾は、フィリピンのカトリック文化を感じることができます。特にバクラヨン教会は、その石造りの外観と内部の彫刻が美しく、訪れる人々に深い印象を与えます。この教会は、フィリピン最古のものの一つとして知られ、スペイン植民地時代の影響を今に伝えています。
 ボホール島はまた、その温暖な気候とフレンドリーな住民たちが訪問者を歓迎する場所です。地元の料理も楽しむことができ、特に新鮮なシーフードや伝統的なフィリピン料理が味わえるでしょう。島の魅力は多岐にわたり、自然、文化、歴史が一体となった体験を提供してくれます。

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