トルコ南西部のエーゲ海沿岸に位置するボドルムは、その美しい海と白い家並みが魅力のリゾート地として知られていますが、その背後には豊かな歴史が息づいています。かつて古代ギリシャ時代には「ハリカルナッソス」と呼ばれ、この地は紀元前4世紀にペルシャ帝国のサトラップであったマウソロスが支配していました。マウソロスの死後、彼を記念して建てられた霊廟「マウソロス霊廟」は、古代世界の七不思議の一つとして数えられ、その名は現代でも「霊廟」という意味の「マウソレウム」に由来しています。残念ながら、この巨大建築は地震や侵略によって崩壊しましたが、その遺構は現在も見ることができ、古代の栄華を感じることができます。
ボドルムはその後、ローマ帝国やビザンティン帝国、オスマン帝国の支配下に入り、各時代に独自の文化が織り込まれました。中世には聖ヨハネ騎士団がこの地に要塞を築きました。このボドルム城は、エーゲ海に面して堂々とそびえ立ち、現在もその美しい姿を残しています。特に城内には水中考古学博物館があり、海底から引き揚げられた古代の船や遺物が展示されており、古代の海上貿易や戦争の歴史に触れることができます。この博物館は、世界的にも珍しい水中考古学の展示を行っており、訪れる人々を過去の航海へと誘います。
また、ボドルムはエーゲ海の美しいビーチでも有名で、クリスタルのように澄んだ海水が旅行者を魅了します。港町として栄えたボドルムには、豪華なヨットやボートが並び、セーリングやクルージングを楽しむ人々で賑わいます。特にギュムベットやビテスといった地区は、リゾートの雰囲気を存分に味わうことができるエリアです。さらに、夜になると街は活気づき、レストランやカフェが海沿いに広がり、エーゲ海の夕日を眺めながら食事を楽しむことができます。
このように、ボドルムは古代から続く歴史と美しい自然が見事に調和した場所であり、訪れる人々はその壮大な過去とエーゲ海の穏やかな風景を同時に楽しむことができるのです。
ボドルム(トルコ)

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