徳島県阿波市にある法輪寺は、四国遍路において第九番札所として多くの巡礼者を迎えてきた由緒ある寺院です。周囲には田園風景が広がり、山裾の穏やかな空気に包まれた境内は、旅の序盤に訪れる人の心を自然と落ち着かせてくれます。札所を巡る道中において、ここで一息つき、これから続く長い旅への気持ちを整える方も少なくありません。
法輪寺の起こりは、弘法大師空海がこの地を訪れた際、人々の苦しみを救うために仏法を説き、堂宇を整えたことに始まると伝えられています。寺名にある「法の輪」という言葉には、教えが絶えず巡り、すべての人に行き渡るようにとの願いが込められており、古くから地域の信仰の中心として大切に守られてきました。長い年月の中で幾度も修復や再建を重ねながら、今もなおその精神を伝え続けています。
境内に足を踏み入れると、まず本堂の落ち着いた佇まいが印象に残ります。堂内には本尊が静かに安置され、手を合わせると自然と背筋が伸び、心が内側へと向かっていくのを感じられます。大師堂も巡礼者にとって欠かせない場所で、空海への感謝と旅の無事を祈る姿が一日を通して見られます。
また、法輪寺は「足腰の寺」として親しまれてきた一面もあり、健脚や健康を願う参拝者が多く訪れます。四国遍路の道は歩きが中心となるため、ここで祈りを捧げることに特別な意味を感じる方もいるでしょう。阿波市という土地に根差し、人々の暮らしとともに歩んできた法輪寺は、巡礼の旅に静かな励ましと安らぎを与えてくれる存在です。
法輪寺(徳島県)
マップの散歩道