徳島県阿波市土成町にある十楽寺は、四国巡礼において第七番札所として多くの参拝者を迎えてきた由緒ある寺院です。穏やかな田園風景に囲まれた境内に足を踏み入れると、長い巡礼の道中で心と体を整える場として大切にされてきた空気を感じることができます。
この寺は、弘法大師空海が修行の折に開いたと伝えられ、仏の教えによって人々が苦しみから離れ、楽しみの多い人生へ導かれるよう願いが込められています。そのため「八つの苦しみ(八苦)から離れ、極楽浄土で得られる10種類の楽しみ(十楽)を得る」という思想が寺名にも表れており、巡礼者にとっては次の道程へ向かうための心の支えとなってきました。阿波市という土地柄もあり、地域の人々との結びつきが深く、長い年月をかけて信仰が受け継がれてきたことがうかがえます。
境内では、本堂に安置された御本尊の阿弥陀如来が、柔らかな表情で参拝者を迎えてくれます。その姿を前にすると、旅の疲れや日常の悩みが静かにほどけていくように感じられます。また、整えられた庭や参道は落ち着いた雰囲気に満ち、写真を撮る人やゆっくりと歩く巡礼者の姿が印象的です。
十楽寺は、単に札所を巡るための通過点ではなく、阿波市の自然や人の温かさに触れながら、自身の歩みを見つめ直す時間を与えてくれる場所です。四国巡礼の道中で訪れることで、心に残る静かなひとときを過ごすことができるでしょう。
十楽寺(徳島県)
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