黒巌山 遍照院 大日寺(徳島県)

 徳島県板野郡板野町にある黒巌山 遍照院 大日寺は、四国遍路の第四番札所として古くから多くの巡礼者を迎えてきました。阿波国の平野部にほど近い場所にありながら、山号にふさわしい落ち着いた雰囲気に包まれ、遍路の道程の序盤で心身を整える大切な拠点として親しまれています。
 この寺は弘法大師空海との深い縁が語り継がれ、真言密教の教えを体感できる霊場として歩みを重ねてきました。本尊には大日如来が安置され、宇宙の真理そのものを象徴する存在として信仰を集めています。遍照院という院号も、大師の法号「遍照金剛」に由来するとされ、寺全体に密教の精神が息づいていることを感じさせます。長い年月の中で幾度かの災禍に見舞われながらも、その都度再興され、現在に至るまで信仰の灯が絶えることはありませんでした。
 境内に足を踏み入れると、整えられた伽藍と静謐な空気が訪れる人を迎えます。堂々とした本堂では、荘厳な雰囲気の中で大日如来と向き合うことができ、自然と背筋が伸びる思いがいたします。大師堂や多宝塔なども配置され、建物それぞれが調和しながら、参拝者に安らぎと学びの場を提供しています。四季折々の草木が境内を彩り、春の柔らかな光や秋の澄んだ空気の中での参拝は、特に印象深いものとなるでしょう。
 第四番札所である大日寺は、これから長い道のりを進む巡礼者にとって、祈りの姿勢を確かめる大切な場所です。徳島県板野郡板野町という地域に根ざしながら、世代を超えて受け継がれてきた信仰と静かな佇まいは、観光で訪れる方にも深い余韻を残してくれます。四国遍路の旅の始まりに近いこの寺で、ぜひゆっくりと手を合わせ、その空気を味わってみてください。