金泉寺(徳島県)

 徳島県板野郡板野町にある金泉寺は、四国八十八ヶ所の第三番札所として、四国遍路に出発したばかりの人々を優しく迎えるお寺です。弘法大師空海が修行を重ねた場所と伝えられ、境内には古くから湧き出る清らかな水があり、その水が金色に輝いたことから、この名前が付けられたといわれております。今でも参拝の方々はその井戸に手を合わせ、旅の安全を祈りながら一口含んで力をいただく習慣が続いています。
 本堂にはご本尊の釈迦如来が安置され、厳かで落ち着いた空気に包まれております。ゆっくりと手を合わせていると、巡礼の始まりにふさわしい心の静けさを感じられます。寺内には「弁天さま」と親しまれる厳島神社の祠もあり、水の恵みを象徴するかのような存在感を放っています。また、境内には大師堂や鐘楼が整然と配置され、歴史を感じさせる建造物を眺めながら歩くだけでも、旅の気持ちが引き締まります。
 金泉寺は桜や紅葉など季節の彩りも豊かで、巡礼者だけでなく観光客が散策を楽しむ姿も多く見られます。四国遍路の道としての役割が中心ではありますが、初めて訪れた人でも温かく迎え入れてくれる落ち着いた空間が魅力です。門前ではお遍路さん同士の交流が自然と生まれ、互いの旅の目的やエピソードを語り合うことで、この地での時間がより特別なものになります。
 旅の序盤に位置するため、ここで心身を整え、これからの道のりへの期待と不安を胸に一歩を踏み出す方が多いです。静けさの中に力強さを感じる金泉寺は、徳島県板野町を代表する癒やしの空間であり、巡礼者の思いを穏やかに支えてくれる存在です。ここを訪れることで、四国遍路の旅が一段と深みを増し、忘れがたい体験となることでしょう。