福岡県福岡市東区にある志賀島は、玄界灘に突き出すように位置し、本土とは砂州で結ばれているため、車でのアクセスも容易です。この砂州は「海の中道」と呼ばれ、両側に海が広がる爽快なドライブコースとして人気を集めています。市街地からの距離も程よく、自然を身近に感じながら心を解き放てる場所として、多くの人々に親しまれています。
この島が全国的に知られるようになったきっかけの一つが、18世紀後半、島内で発見された小さな金の印です。刻まれていた文字は「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」と読まれ、中国の王朝が倭国の王に与えたものとされており、その歴史的価値から国宝に指定されています。発見場所とされる丘の上には現在記念碑が立ち、静かにその物語を今に伝えています。ここから見下ろす海と空の広がりは、太古の時代と現代が交錯するような感覚をもたらしてくれます。
島内は豊かな自然と穏やかな海に囲まれ、夏には志賀島海水浴場や勝馬海水浴場が多くの人でにぎわいます。遠浅で波も穏やかなので、小さなお子様連れでも安心して遊べる環境が整っています。また、島を一周する約10キロメートルの道路は、海を眺めながらのサイクリングや散歩にも最適です。道中では磯の香りや鳥の声、波の音が心地よく耳に届き、五感を通じて自然とのつながりを感じることができます。
島の中心部には志賀海神社がたたずみ、古くから海の守り神として信仰を集めてきました。社殿から見渡す海は、訪れる人々に静けさと力強さの両方を感じさせてくれます。周囲には古代の遺構や石碑が点在し、歩くごとに時間を超えた物語が心に触れてきます。
新鮮な海の幸も志賀島の楽しみの一つです。サザエやアジ、イカなどが豊富に水揚げされ、地元の食堂ではこれらを使った素朴で味わい深い料理が楽しめます。特に香ばしく焼き上げたサザエは、訪れたらぜひ味わっていただきたい逸品です。
このように、福岡市東区の志賀島は、悠久の物語と美しい自然、そして地元の暮らしが調和した特別な場所です。海と空と大地が織りなす風景の中で、訪れる人はそれぞれの時間を豊かに過ごすことができるでしょう。
志賀島(福岡県)
