しまなみ海道(愛媛県)

 愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」は、瀬戸内海に浮かぶ島々をつなぐ美しい海上ルートとして、多くの旅行者を魅了しています。今治市側からスタートすると、最初に出会うのが来島海峡大橋で、その雄大な姿と海を見下ろす眺めには、思わず息をのむほどの迫力があります。この橋は自動車専用道としてだけでなく、自転車や徒歩でも渡ることができ、サイクリストにとってはまさに聖地と呼べる存在です。
 今治市内から橋を渡り始めると、大島、伯方島、大三島、生口島、因島、向島と、瀬戸内の島々が連なるように続きます。それぞれの島には個性豊かな風景や文化が広がり、橋を渡るたびに異なる表情が楽しめます。たとえば大三島にある「多々羅大橋」は、その美しい斜張橋の姿が自然と調和し、写真愛好家に人気のスポットとなっています。また、大三島は「神の島」とも称され、静けさと神秘的な空気を感じさせてくれます。
 生口島ではレモンの栽培が盛んで、島内には柑橘を使ったスイーツやドリンクを提供するカフェも点在しています。サイクリングの途中で立ち寄ると、地元ならではの味わいを楽しむことができます。因島には造船業で栄えた歴史があり、今でもその面影を感じられる港町の雰囲気が残されています。そして最後の向島に至るまで、しまなみ海道の旅は、海・空・島の風景が織りなす変化に富んだ道のりとなっています。
 今治市から出発する場合、レンタサイクルの拠点が駅前や港に整備されており、手ぶらで訪れても安心です。また、途中の島ごとにサイクルターミナルや休憩所があり、初心者でも気軽に挑戦できます。瀬戸内海の穏やかな潮風を感じながら、自分のペースで橋を渡り、島をめぐる旅は、心に残る特別な体験となることでしょう。
 今治市と尾道市をつなぐしまなみ海道は、ただの交通手段にとどまらず、島々と海を五感で味わうことができる道です

コメント