五色台(香川県)

 香川県高松市と坂出市にまたがる五色台は、瀬戸内海を望む穏やかな山々の連なりが印象的な場所です。その名のとおり、五つの峰がそれぞれ赤峰・青峰・黄峰・白峰・黒峰と呼ばれており、それぞれの山肌が異なる色彩を帯びて見えることから、この名前がつけられました。訪れる人々を迎えるのは、なだらかな稜線と豊かな緑、そして眼下に広がる瀬戸内の多島美です。季節や時間帯によって刻々と変わる風景は、写真や絵画では表現しきれない奥行きと静けさを持っています。
 高松市の側からアクセスすると、まず白峰寺へと至る道が人気です。白峰寺は四国霊場八十八ヶ所の一つであり、巡礼の地としても知られています。寺の境内からは讃岐平野と瀬戸内海が一望でき、澄んだ空気の中で心が洗われるような感覚に包まれます。一方、坂出市側には五色台スカイラインが通っており、車窓からの景色を楽しみながら山上へ向かうことができます。途中には展望台や休憩所も整備されており、ドライブ途中に一息つくのに最適です。
 五色台には自然科学館も設けられており、家族連れにも好評です。館内ではこの地域の自然環境や生態系について学ぶことができ、小さなお子さまも楽しみながら過ごせます。春には山桜が咲き誇り、秋には紅葉が斜面を彩るため、ハイキングやピクニックを楽しむ人々で賑わいます。整備された遊歩道を歩けば、野鳥のさえずりや風に揺れる木々の音が心地よく響き、日常の喧騒を忘れることができます。
 また、瀬戸内海を背景にした夕景も訪れる価値があります。特に高松市の夕暮れ時には、海に沈む夕日が水面を茜色に染め上げ、遠く小豆島や屋島のシルエットが浮かび上がる様子は、訪れた人の心に深く残る光景です。五色台は、香川県の自然と文化の調和を体感できる静謐な地として、多くの人々に愛され続けています。

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