別府弁天池（山口県）

　山口県美祢市に位置する別府弁天池は、静かな山あいにひっそりとたたずむ湧水池で、訪れる人々に心洗われるような印象を与えます。透き通るような青色の水面は、まるで宝石のように輝き、光の加減によって微妙に色を変えるため、写真を撮る観光客の間でも人気の場所となっています。池の水は地下深くから湧き出しており、その透明度と冷たさには誰もが驚かされます。水温は年間を通じてほぼ一定で、手を浸せばひんやりとした感触が楽しめ、夏場でも涼しさを感じることができます。
　池のすぐそばには、小さな社が佇んでおり、地元の人々に大切にされてきた神聖な空間が今も保たれています。鳥居をくぐって池に近づくと、静寂の中に水音だけが響き、自然と心が落ち着いていくような感覚を覚えることでしょう。池のほとりには木々が立ち並び、春には若葉が、秋には紅葉が池の水面に映り込む姿がとても美しく、四季折々の風景が楽しめます。
　また、美祢市ならではの石灰岩地形により、この池の水には独特の成分が含まれており、かつてはその水質が生活に役立てられていたとも伝えられています。現在でもこの水をくみに訪れる人は多く、池の近くには給水設備が整えられており、自由に持ち帰ることができます。その場で飲んでも美味しく、冷たい湧水は旅行中の疲れを癒してくれます。
　周辺には散策路も整備されており、のんびりと歩きながら自然の音に耳を澄ませたり、小鳥のさえずりに耳を傾けたりと、日常の喧騒から離れて心を休めることができます。特に朝の時間帯は訪れる人も少なく、静けさの中で池の美しさをひときわ感じることができます。美祢市の自然が育んだこの場所は、訪れるたびに新たな表情を見せてくれる、そんな魅力にあふれた存在です。