広島県庄原市に位置する葦嶽山(あしたけやま)は、比婆道後帝釈国定公園の一角にそびえる標高約815メートルの山で、地元では神秘的な雰囲気をたたえた存在として親しまれています。登山道の入り口は庄原市高野町からアクセスが可能で、山麓には豊かなブナ林が広がり、季節ごとに異なる彩りを楽しめる自然の宝庫となっています。新緑の春や紅葉の秋には、訪れる人々の心を癒す静けさと美しさに包まれます。
山を登るにつれて現れるのが、自然の造形とは思えないような不思議な岩の群れです。なかでも、切り立った岩が幾何学的に積み上がるように連なる「ピラミッド状の岩塊」は特に注目されており、訪れる人々の想像力を刺激します。整然と並ぶ岩の間を通り抜けると、古代の人々が残したような雰囲気が漂い、まるで時間が止まったかのような感覚に陥ることでしょう。また、一部では太陽の動きと岩の配置との関係性が語られることもあり、山全体に不思議な神聖さを感じる方も少なくありません。
頂上付近にたどり着くと、庄原市内や中国山地の山々を一望する大パノラマが広がります。空気が澄んだ日には、遠く四国の山並みが見えることもあり、その雄大な景色は多くの登山客を魅了しています。また、春から夏にかけては山野草が咲き誇り、足元にも小さな自然の営みを感じることができます。野鳥のさえずりも心地よく、都会の喧騒を離れて静寂の中で過ごすひとときは、心身ともに深く癒やされるものです。
葦嶽山は、その自然美だけでなく、周囲に漂う独特の空気感や岩々の存在によって、訪れる人にさまざまな感情や想像を呼び起こす場所です。庄原市高野町の奥深い山あいにあって、車を降りた瞬間から徐々に日常とは異なる世界へと導かれていくような感覚を味わえるでしょう。自然と人の営みが静かに交差するこの山は、特別な目的がなくとも、ただ歩くだけで心に残る体験をもたらしてくれます。
葦嶽山(広島県)

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