愛知県の知多郡南知多町に属する日間賀島(ひまかじま)は、三河湾に浮かぶ小さな離島で、名古屋から電車と船を乗り継いで1時間半ほどでたどり着ける場所にあります。この島は周囲わずか5.5キロほどの円形をした島で、徒歩でも2時間もあれば一周できるほどのコンパクトさが魅力です。古くから漁業が盛んで、特にタコやフグの漁で知られており、地元では「タコの島」として親しまれています。タコはこの島のシンボル的な存在で、島内のいたるところでタコをモチーフにしたモニュメントや看板を見ることができます。
島の暮らしは自然と密接に結びついており、現在でも多くの漁師たちが早朝から漁に出かけています。古代から漁業が生活の中心にあったことは、島のあちこちに残る神社や祠からも感じ取ることができ、海の恵みに感謝しながら暮らしてきた人々の思いが受け継がれています。島には大きな観光施設はありませんが、その素朴さと静けさが、都市の喧騒を離れてゆっくりとした時間を過ごしたい人々にとって魅力となっています。
訪れた人々がまず感動するのは、透明度の高い海と美しい夕日です。島の西側に位置する「サンセットビーチ」では、三河湾に沈んでいく夕日が空と海を赤く染める光景が広がり、写真を撮る観光客で賑わいます。また、地元の旅館や民宿では、新鮮な海の幸をふんだんに使った料理が提供され、特に冬に旬を迎えるフグ料理は全国からのリピーターを引き寄せています。
さらに、島には電動自転車のレンタルもあり、のんびりと島内を巡るのにぴったりです。春には海辺に咲く野の花々を楽しみ、夏には海水浴や磯遊び、秋には釣りを楽しむなど、四季折々の自然に触れることができます。日間賀島は、華やかな観光地とは一味違った、海と共に生きる人々の息遣いを感じられる場所であり、心をリセットするような旅を求める人にとって、忘れがたい体験を与えてくれる島です。
日間賀島(愛知県)

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