昼神温泉(長野県)

 長野県の阿智村に位置する昼神温泉は、静かな山あいにたたずむ癒やしの湯どころとして知られています。この温泉が発見されたのは比較的近年のことで、昭和48年、旧国鉄トンネル掘削の地質調査中に偶然湧き出たのが始まりです。古くから湯治場としての歴史を刻んできた他の温泉地とは異なり、現代になってから整備された新しい温泉地であるにもかかわらず、その泉質の良さが評判を呼び、たちまち多くの人々を惹きつける場所となりました。
 昼神温泉の湯は無色透明でとろみのあるアルカリ性単純泉で、肌にやさしく、美肌の湯として特に女性に人気があります。湯に浸かると肌がつるつるになるといわれ、日々の疲れを癒やすだけでなく、訪れる人々に心身のリフレッシュをもたらしてくれます。周囲を囲む南信州の山々が季節ごとに美しい表情を見せるなかで湯に浸かる時間は、都会の喧騒を離れてのんびりと過ごすのにぴったりです。
 また、阿智村は「日本一星空が綺麗な村」としても有名で、特に春から秋にかけては星空観賞が一つの楽しみになっています。標高の高い場所に位置し、周囲に大きな都市の明かりがないため、晴れた夜には満天の星空が広がります。ロープウェイで山頂に登る星空ナイトツアーでは、天体観測の専門ガイドによる解説も受けられ、多くの観光客がこの体験を求めて訪れます。
 温泉街には足湯や地元の特産品を扱う土産物屋、季節の山菜や川魚を使った郷土料理を提供する旅館などが軒を連ねており、ゆったりとした時間の流れを感じながら、信州ならではの味覚や文化にも触れることができます。春には桜、夏には緑、秋には紅葉、冬には雪景色と、四季折々の風情を楽しめるのも昼神温泉の魅力のひとつです。
 自然に囲まれた静けさのなかで、ゆっくりと流れる時間に身を任せる旅を求めている方にとって、阿智村の昼神温泉は心からくつろげる場所といえるでしょう。

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