山梨県南都留郡富士河口湖町に位置する「西湖いやしの里根場(ねんば)」は、かつて富士山の麓に広がっていた美しい茅葺き屋根の集落を再現した観光施設です。この地はかつて「根場集落」として知られ、豊かな自然に囲まれた静かな山里として、多くの人々が農業を中心に暮らしていました。しかし、昭和41年(1966年)の台風災害により、土石流に見舞われて集落の大部分が失われるという悲劇を経験しました。長らく人が住まなくなっていたこの場所に、昔の集落の姿を再びよみがえらせようとする取り組みが始まり、平成18年(2006年)に「いやしの里」として整備され、現在の形となりました。
里内には、かつての暮らしを感じさせる茅葺き屋根の建物が20棟ほど点在しており、内部では民芸品の展示や地元の工芸体験が楽しめます。例えば和紙づくりや陶芸、裂き織りなど、職人の技に触れながら実際にものづくりに参加できる点が魅力です。また、建物のひとつには甲州地方独特の織物や、富士山周辺の文化を紹介する展示もあり、地域の伝統が色濃く息づいています。
さらに、里からは雄大な富士山を背景にした絶景が望めます。春には桜、夏には青々とした木々、秋には紅葉、冬には雪景色と、四季折々の自然の美しさが訪れる人々の心を癒してくれます。散策路も整備されており、ゆったりと歩きながら、昔ながらの日本の風景に浸ることができます。農産物や地元のお土産を扱う店舗もあり、手作りの味噌や梅干し、地元野菜などを買い求める楽しみもあります。
この場所は、懐かしさや安らぎを感じさせる空間として、国内外の観光客に親しまれています。都市の喧騒を離れ、ゆったりとした時間を過ごすにはぴったりの場所であり、日本の原風景と人々の暮らしの知恵に触れることができる、貴重な場所となっています。富士河口湖町を訪れる際には、ぜひ足を運んでほしい場所のひとつです。
西湖いやしの里根場(山梨県)

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