水島(福井県)

 福井県敦賀市に位置する水島は、まるで南国の離島を思わせる美しい景観で知られています。夏季限定で渡ることができるこの小さな無人島は、透明度の高い海と白砂の浜辺が広がり、日本海沿岸とは思えないほどの異国情緒を漂わせています。敦賀湾に浮かぶ水島へは、毎年7月から8月の間に運航される渡し船でアクセスすることができ、地元の人々のみならず全国から多くの観光客が訪れる人気のスポットです。
 この島の名前の由来には諸説ありますが、古くは海上交通の目印として親しまれ、周囲の漁師たちにとっても重要な存在であったとされています。敦賀市は古くから北前船の寄港地として栄えてきた歴史を持ち、水島周辺の海域もまた、その海運の一翼を担っていたことがうかがえます。今では穏やかな観光地となっていますが、その背後には、交通と交易の要所としての顔があったのです。
 島に到着すると、まず目を奪われるのが透き通るような海の青さです。潮の干満によって表情を変える浅瀬では、小さな魚やカニなどの海の生き物たちを間近に観察することができ、子どもから大人まで自然の豊かさを肌で感じることができます。また、周囲に建造物がほとんど存在しないため、視界を遮るものがなく、海と空と砂浜が一体となったような開放感に包まれるのも魅力のひとつです。晴れた日には遠くに敦賀半島の山並みも望め、写真映えする風景が広がっています。
 一方で、水島には売店や宿泊施設などがないため、訪れる際には飲み物や日除け用品などの準備が欠かせません。自然のままの姿を守るため、観光客のマナーも大切にされており、ごみの持ち帰りや環境保護への配慮が求められます。こうした点からも、水島はただのレジャー目的の島ではなく、敦賀市が誇る自然遺産としての一面を持っているといえるでしょう。
 季節限定の楽園とも呼ばれる水島は、訪れる人々に非日常の時間を提供してくれます。福井県敦賀市の海に浮かぶこの小さな島で、夏のひとときを静かに、そして豊かに過ごしてみてはいかがでしょうか。

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