新潟県新潟市中央区に位置する沼垂(ぬったり)テラス商店街は、かつて市場や問屋が立ち並んでいた歴史あるエリアに生まれた、どこか懐かしさを感じさせる小さな商店街です。昭和の雰囲気を色濃く残す木造長屋を活用し、リノベーションによって新たな魅力が吹き込まれたこの場所には、地元の職人や若い起業家たちが集まり、個性豊かな店舗を構えています。
もともとこの地域は、明治から昭和にかけて「沼垂市場」として栄えており、新潟の物流と商業の拠点のひとつでした。昭和の終わり頃には一度賑わいを失いましたが、地元の人々の努力によって、地域の記憶と建物を大切にしながら少しずつ再生されてきました。今では、毎月開催される「朝市」や季節ごとのイベントが人々を惹きつけ、新潟の中でも注目のスポットとして人気を集めています。
商店街には、自家焙煎のコーヒーを提供するカフェ、手作りのパンや焼き菓子を並べるベーカリー、古本屋、雑貨店、クラフト工房などが並びます。どの店も店主のこだわりが感じられ、訪れる人との距離が近いのも特徴です。また、ものづくり体験やワークショップを開催している店もあり、観光客にとっても気軽に地域の文化に触れられる機会となっています。
夜になると、ほんのりと灯る照明が長屋の風情を一層引き立て、昼間とは違った落ち着いた表情を見せてくれます。観光地として派手さはないものの、ゆったりとした時間の流れと人の温もりを感じられる場所であり、旅の合間にふらりと立ち寄りたくなるような心地よさがあります。
新潟市を訪れる際には、この静かであたたかな商店街に足を運び、かつての市場文化が息づく街並みと、現代の感性が融合した魅力をじっくりと味わってみてはいかがでしょうか。
沼垂テラス商店街(新潟県)

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