菓子屋横丁(埼玉県)

 埼玉県川越市にある「菓子屋横丁」は、まるで昔にタイムスリップしたかのような雰囲気を味わえる、情緒あふれる一角です。この小さな通りには、駄菓子を扱う店が軒を連ね、訪れる人々を懐かしい気持ちにさせてくれます。明治時代の終わり頃、川越の職人たちが手作りの菓子を製造・販売し始めたのが、この通りの始まりとされています。戦後も昭和の時代にかけて、安価で素朴な味の菓子が地域の子どもたちに親しまれ、今では全国から観光客が訪れる場所となっています。
 川越市は「小江戸」と呼ばれるほど、江戸の風情を色濃く残した街として知られていますが、この通りもその例外ではありません。菓子屋横丁に足を踏み入れると、石畳の細い路地に、木造の低い建物が並び、どこか懐かしい香りが漂います。手作りの飴や、カラフルなラムネ、おせんべいにわたあめなど、昭和を感じさせるお菓子がずらりと並び、見ているだけでも心が和みます。なかには長さ1メートルにも及ぶふ菓子や、昔懐かしい型抜き遊びができる店もあり、大人も子どもも夢中になること間違いありません。
 また、店の方々との会話もこの場所の魅力の一つです。店主たちは観光客との触れ合いを大切にしており、菓子作りの話や川越のことについて気さくに話してくれます。外国からの観光客にも人気があり、日本の昔ながらの文化を体感できる場所として高く評価されています。
 近くには蔵造りの町並みや時の鐘といった有名なスポットもあり、川越市全体を散策する中でこの通りを訪れると、さらにその魅力が引き立ちます。何気ない一袋のお菓子に、職人の技と心が詰まっていることを感じられるのが、川越の菓子屋横丁なのです。時間を忘れて歩きたくなる、そんな特別な場所として、多くの人に親しまれています。

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